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ナノスケール材料:絶縁体上でのトンネル顕微鏡法を用いた電子移動時の軌道変化のマッピング
Nature 566, 7743 doi: 10.1038/s41586-019-0910-3
電子移動は、光合成、燃焼、腐食など多くの化学反応において重要な役割を果たしている。しかし、反応に関与する分子の電子構造が酸化還元状態遷移によって変化するにもかかわらず、こうした変化を単一分子レベルでマッピングすることは困難である。走査型トンネル顕微鏡法は、単一分子の軌道構造や単一分子間の相互作用に関する知見をもたらすが、分子を所定の電荷状態に維持して酸化還元遷移を抑制する導電性基板を使用する必要がある。原子間力顕微鏡法を絶縁性基板上で用いることで、構造的情報や静電的情報が得られるが、この方法では一般的に電子状態の情報は得られない。今回我々は、原子間力顕微鏡の導電性探針と基板の間で電子トンネリングを操作する電圧パルスと、探針の振動を同期させると、非導電性基板上でトンネリング実験を実施でき、この実験によって酸化還元状態に応じて孤立分子の軌道構造をマッピングできることを示す。このマッピングによって、これまで調べることができなかった電子遷移を空間的・エネルギー的に分解し、電子移動とポーラロン形成が個々の分子軌道に及ぼす影響を可視化できるようになった。我々は、今回の方法が、複雑な酸化還元反応や荷電関連現象のサブオングストローム分解能での研究に役立つと予想する。

