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がん:がん進化の酵母モデルではヘテロ接合性変異が遺伝的不安定性を引き起こす

Nature 566, 7743 doi: 10.1038/s41586-019-0887-y

高い遺伝子変異率が受け継がれる遺伝的不安定性は進化的な適応を加速し、またがんで広く見られている。哺乳類では、不安定性は、DNA代謝や細胞周期の調節に関与する遺伝子の両方のコピーの損傷、あるいは産物量が限定的な遺伝子の1コピーの不活化(ハプロ不全)によって生じることがある。しかし、これら2つの機構の相対的な重要度の決定は難しいことが分かっている。大腸菌(Escherichia coli)では、強い選択を繰り返し行うことで遺伝的不安定性が多く見られるようになる。今回我々はこの方法を用いて、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の二倍体細胞で遺伝的不安定性を進化させ、点変異、有糸分裂時の組換え、染色体喪失の発生率が上昇しているクローンを単離し、ヘテロ接合性で不安定性を引き起こす変異の候補を見つけ出した。このような変異を、ヘテロ接合体として二倍体の祖先株に組み込むと、遺伝的不安定性が引き起こされた。ハプロ不全遺伝子の1コピーを不活化する変異は、変異が生じた遺伝子コピーの機能を顕著に変化させる変異よりも多く見られた。変異を起こした遺伝子は、輸送、タンパク質の品質管理、DNA代謝で機能する遺伝子に多かった。また、遺伝的不安定性を引き起こす新しい標的が明らかになり、その中には不可欠な遺伝子も含まれていた。我々が特定した標的遺伝子のうちの57個はヒトにオルソログあるいは近縁のホモログがあり、そのうちでがんに関連付けられているヒト遺伝子のホモログを持つものは10個だけと少なく、残りはヒトの遺伝的不安定性に関与する遺伝子の候補である。この仮説を検討するため、ほぼ一倍体のヒト細胞株で例として6つの遺伝子を不活化したところ、これらの変異のうち5つが不安定性を増大させた。我々は二倍体酵母細胞では単一の遺伝的事象が遺伝的不安定性を引き起こすと結論し、また、哺乳類ホモログに生じる同様のヘテロ接合性変異ががんで遺伝的不安定性を開始させると考える。

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