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気候科学:海氷崖不安定性に起因する南極氷床の損失の再検討
Nature 566, 7742 doi: 10.1038/s41586-019-0901-4
南極域の融解に起因する今世紀の海水準上昇についての予測は、0 mから1 m以上と幅がある。予測の最大値は、議論の的になっている海氷崖不安定性(MICI)仮説に基づいており、この仮説では、地球温暖化によって表面と棚氷底面が融解した結果棚氷が崩壊すると、沿岸域の氷崖が急速に崩れ得ると仮定されている。しかし、MICIは近年観測されておらず、地質学的な過去における海水準変動の再現に必要かどうかはまだよく分かっていない。本論文では、最初のMICI研究における氷床モデリングの不確かさを定量化し、この研究の確率分布がより小さな値の方に偏っている(極めて高い温室効果ガス濃度の下での最頻値は45 cm)ことを示す。一方で、中期鮮新世、最終間氷期、1992~2017年における南極氷床の損失に起因する海水準変動の再現には、MICIは必要でないことが分かった。つまり、MICIを含めない予測結果は、過去の研究と一致することが見いだされた(95パーセンタイル値は全て43 cm未満であった)。我々は、MICIの予測に関するこれまでの解釈は、今世紀の海水準上昇を過大評価していると結論付ける。従って、MICI仮説は十分に絞り込まれていないので、MICIを含めた確信のおける予測には、棚氷の脆弱性と氷崖の崩壊に関する観測によって裏付けられたより広い範囲のモデルが必要であると思われる。

