天文学:急速に成長する銀河形成前のガス雲における大質量ブラックホールの形成
Nature 566, 7742 doi: 10.1038/s41586-019-0873-4
大質量銀河の中心に存在する超大質量ブラックホールの起源は、いまだに明らかではない。直接崩壊ブラックホールは、質量が太陽の約1万倍という超大質量星の残骸で、理想的な種の候補である。しかし、初期宇宙における直接崩壊ブラックホールの存在そのものと形成環境についてはいまだ議論が続いており、また、こうしたブラックホールは希少であると想定されているため、形成のモデル化が困難である。モデルからは、金属を含まないハローにおける、何らかの臨界値を超える質量降着率での銀河形成前のガスの急速な重力崩壊が、原始星のコア形成の必要条件であり、こうしたコアからその後超大質量星が形成されることが示されている。本論文では、超大質量星を形成するのに十分な質量と質量降着率を持つ、金属を含まないハローを生み出す、初期銀河形成の輻射流体力学シミュレーションについて報告する。我々は、背景放射の約3倍の強度のLyman–Werner放射を受け、進化の初期の過程で少なくとも1回の急速な質量成長期を経た銀河形成前のハローとそれらに付随するガス雲が、超大質量星の形成に理想的な環境であることを見いだした。こうした急速な成長によって、著しい力学的な加熱が生じ、20キロパーセク離れた若い銀河の一群を起源とするLyman–Werner抑制が増強される。今回の結果は、Lyman–Werner放射の臨界フラックスではなく、構造形成ダイナミクスが、初期宇宙における大質量ブラックホール形成の主な駆動要因であることを強く示唆している。我々は、共動数密度が立方メガパーセク当たり10−3までの初期宇宙の密度超過領域では、大質量ブラックホールの種は、これまで考えられたよりも一般的である可能性があることを見いだした。

