Letter

生態学:対照的な過程によって生じる、浅海底から深海底にわたるクモヒトデ類の系統的多様性

Nature 565, 7741 doi: 10.1038/s41586-019-0886-z

深海の生命の分布と進化に関する我々の知識は限られており、そのため、優先して保全すべき領域の特定が難しくなっている。今回我々は、無脊椎動物の1つの綱全体(クモヒトデ綱;Ophiuroidea)について、南半球の海面から深海、赤道から南極までのこの海底動物相の大規模な系統ゲノミクスデータセットと分布データセットを統合し、解析した。その結果、緯度方向の多様性勾配は、浅海(水深0〜200 m)と深海(水深 > 200 m)では対照的な進化過程を通して形成されることが分かった。熱帯–温帯の浅海域は、両方向性の系統の交換(移出入)を示すという、多様化に駆動される熱帯の過程をおおむね反映していた。一方、深海と南極を含む領域では、多様化の速度の傾向は逆転しており、多様化速度は南極域で最も高くて熱帯域の深海で最も低く、正味の交換は高緯度域から低緯度域の向きに起こっていた。熱帯の上部漸深海(水深200〜700 m)は原始的な系統的多様性が豊かで、多様化速度は比較的低く、移入速度は中程度という特徴があった。これに対して、南極域の特殊化した若い動物相は、中期新生代の極海域の急激な冷却と関連付けられている局地的な絶滅事象から回復している状況にあると推測される。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度