Letter
天文学:大質量星オリオン座θ1 C星からの恒星風によるオリオン座分子雲コア1の分裂
Nature 565, 7741 doi: 10.1038/s41586-018-0844-1
大質量星は、力学的エネルギーと輻射エネルギーを周辺環境に注入し、これらのエネルギーは、周辺環境をかき混ぜ、ガスを加熱し、星間物質中に分子雲相や分子雲間ガス相を形成し、分子雲(新たに星が誕生する場所)を分裂させる。恒星風、超新星爆発、紫外光子による電離によって、分子雲の寿命が決まる。理論研究によって、輻射による運動量の注入は、恒星風によるものより大きいはずであると予測されているが、これを観測的に評価するのは難しかった。電離炭素の微細構造輝線([C II])における速度分解された大規模な画像から、大質量星周辺の星間物質の輻射エネルギーの注入と力学についての観測的な分析結果が得られる。本論文では、地球の最も近くで大質量星を形成しているオリオン座分子雲コア1の1平方度の領域(さしわたし約7パーセク)を、1.9 THz(158 μm)の[C II]輝線に16秒角(0.03パーセク)の分解能で観測した結果を報告する。この結果から、大質量星オリオン座θ1 C星からの恒星風が周辺の物質を一掃して、太陽の2600倍の質量の外殻を持つさしわたし約4パーセクの「泡」を形成し、これが13 km s−1で膨張していることが明らかになった。今回の知見は、恒星風の力学的エネルギーが、非常に効率よく外殻の運動エネルギーに変換され、光電離や蒸発あるいは将来の超新星爆発によるものよりも大きな分裂をオリオン座分子雲コア1に生じさせていることを示している。

