Letter

幹細胞:糖尿病性血管症のモデルとしてのヒト血管オルガノイド

Nature 565, 7740 doi: 10.1038/s41586-018-0858-8

糖尿病の有病者数は増加の一途をたどり、パンデミック(世界的大流行)をもたらしている。糖尿病は、失明、腎不全、心臓発作、脳卒中、下肢切断の主な原因であり、これらは基底膜の肥厚や血管細胞の喪失などといった血管の変化によって引き起こされることが多い。糖尿病はまた、内皮細胞の機能を障害し、内皮細胞と周皮細胞との間のコミュニケーションを阻害する。内皮細胞や周皮細胞の機能不全がどのようにして糖尿病性血管症につながるのかについては、ほとんど分かっていない。今回我々は、多能性幹細胞から自己組織化する三次元ヒト血管オルガノイドを作製したことを報告する。このヒト血管オルガノイドには内皮細胞と周皮細胞が含まれていて、これらの細胞が自己集合して基底膜に覆われた毛細血管ネットワークを形成する。ヒト血管オルガノイドをマウスに移植したところ、動脈、細動脈、細静脈を含む、安定な灌流血管樹が形成された。血管オルガノイドをin vitroで高血糖や炎症性サイトカインに曝露すると、血管基底膜の肥厚が誘導された。また、血管オルガノイドに由来するヒト血管樹を有するマウスにおいて、in vivoで糖尿病環境に曝露した場合も、糖尿病患者に見られる微小血管変化の模倣が見られた。さらに、ヒト血管では、DLL4およびNOTCH3が糖尿病性血管症の重要なドライバーであることが明らかになった。従って、ヒト幹細胞由来のこのオルガノイドは、ヒト血管の構造と機能を忠実に再現していて、世界的に患者数が数億人に上る疾患である糖尿病性血管症のモデリングやその調節因子の特定に適した系である。

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