Letter
物性物理学:強誘電体層における二重井戸のエネルギー地形を明らかにする
Nature 565, 7740 doi: 10.1038/s41586-018-0854-z
ほぼ1世紀前に発見された強誘電物質の性質は、デジタル情報ストレージ、焦電エネルギー変換器、神経形態学的コンピューティングなどの広範な応用につながっている。最近、強誘電体が負性容量を保持できることが示された。これによって、従来の電子機器のエネルギー効率を、基本的限界を超えて改善できる可能性がある。ランダウ–ギンツブルグ–デボンシャー理論では、この負性容量は強誘電分極–エネルギー地形の二重井戸形状と直接関係しているが、これは70年以上の間、実験では実証できないと考えられていた。本論文では、強誘電体Hf0.5Zr0.5O2薄層の固有の二重井戸エネルギー地形を電気測定した結果を報告する。我々は、これを達成するため、この強誘電体を第二の誘電体層を持つヘテロ構造キャパシターへと集積させて、スイッチング中に分極電荷がすぐに遮蔽されるのを防いだ。今回の結果は、負性容量の起源が二重井戸地形のエネルギー障壁にあることを示している。さらに我々は、強誘電体の負性容量は高速でヒステリシスがないことを実証する。これは、将来的なさまざまな応用に重要である。また、この研究で使われたHf0.5Zr0.5O2は、HfO2とZrO2の薄膜がどちらもすでに日常の電子機器に使われていることから、工業的には現在最も重要な強誘電体材料である。そのため、負性容量効果は、エネルギー効率が著しく改善された将来の製品に採用されるのに時間がかからない可能性がある。

