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有機化学:可視光を用いる増感励起によるキラルアレンの触媒的脱ラセミ化

Nature 564, 7735 doi: 10.1038/s41586-018-0755-1

キラル化合物は、互いに重ね合わせることができない鏡像体であるエナンチオマーとして存在する。例えば医薬品有効成分など、エナンチオピュアなキラル化合物は重要であるため、ラセミ体(エナンチオマーの1:1混合物)の分離が広く行われている。しかし、キラル化合物の片方のエナンチオマー型だけが必要になることが多いため、どうすればラセミ体を選択的に単一エナンチオマーに変換できるのかという疑問が生じている。そうした脱ラセミ化過程は、エントロピー的に不利であり、従来の触媒では溶液中で実行できない。今回我々は、触媒量(2.5モルパーセント)のキラル増感剤の存在下で可視光(波長420 nm)を照射することで、高いエナンチオ選択性でキラル化合物を光化学的に脱ラセミ化できることを示す。我々は、一連の17種のキラルラセミ体アレンを89~97%のエナンチオマー過剰率でそれぞれ単一のエナンチオマーへと変換した。増感剤はアレンへの三重項エネルギー移動によって機能すると想定され、2つのエナンチオマーに対するエネルギー移動効率が異なる。従って、増感剤は、片方のエナンチオマーを変換するがもう片方は変換しないという一方向性触媒として働き、エントロピーの減少は光エネルギーによって補償される。光化学的脱ラセミ化によって、同一化合物のラセミ混合物からエナンチオピュアな物質を直接形成できるようになり、不斉構築の課題に取り組む新しい方法が得られる。

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