細胞生物学:TIC236は葉緑体の外包膜と内包膜にあるトランスロコンを連結している
Nature 564, 7734 doi: 10.1038/s41586-018-0713-y
2枚の膜からなる葉緑体包膜は、葉緑体を決定付ける特徴の1つである。葉緑体は内部共生したグラム陰性シアノバクテリアから進化したもので、進化の間に、内部共生体の遺伝子は宿主の核ゲノムへと運ばれた。葉緑体タンパク質のほとんどは、N末端にトランジットペプチドを持つ高分子量のプレタンパク質として細胞質ゾルで合成される。プレタンパク質は外包膜にあるトランスロコンTOC装置と内包膜にあるトランスロコンTIC装置によって葉緑体の内部へと輸送されるが、TOCとTICが集合する仕組みは解明されていない。今回我々は、TICの構成成分であるTIC236の性質を明らかにした。内包膜に位置する内在性タンパク質のTIC236からは、230 kDaのドメインが膜間腔に突き出していて、これが外包膜のチャネルTOC75に直接結合する。TIC236のノックアウト変異は胚性致死となる。TIC236ノックダウン変異体では、内包膜のチャネルTIC20のうちでTOC75に結合しているものが少なくなり、TOC–TIC超複合体の量も減少した。その結果、外包膜へのタンパク質挿入には変化がないものの、ストロマ内への搬入速度が低下した。TIC236のサイズと必要性は、ミトコンドリア(外膜のトランスロコンと内膜のトランスロコンは別々の複合体として存在し、超複合体はプレタンパク質の輸送の際に一時的にしか形成されない)とは違って、葉緑体内へのタンパク質の輸送には、膜間腔に長くて安定なタンパク質の架橋の存在が必要であることを示している。また、TIC236とTOC75は、それぞれ細菌の内膜タンパク質TamB、外膜タンパク質BamAと相同である。我々が行った進化解析により、TIC236はTOC75と同様、植物でだけ保存されていて、植物の系統全体を通じてTOC75と共進化してきたことが明らかになった。このことは、葉緑体のタンパク質搬入装置の骨格が、細菌のTamB–BamAというタンパク質分泌系から進化したことを示唆している。

