地球科学:海底地震計データから見積もられたマリアナ沈み込み帯に入り込む水の量
Nature 563, 7731 doi: 10.1038/s41586-018-0655-4
沈み込み帯における水の循環は、沈み込みが水を地球深部へ輸送する唯一の機構であるにもかかわらず、まだよく分かっていない。これまでの見積もりでは、100 km以深に沈み込む水の量には大きなばらつきがあった。こうした計算における不確かさの主な原因は、沈み込む最上部マントルの当初の水含有量である。これまでの人工地震探査からは、海溝近傍のプレートが曲がる領域で沈み込むスラブが広く含水している可能性が示唆されている。しかし、こうした研究では、含水化の深さ方向の広がりが絞り込まれておらず、その大半が年代の若いプレートの沈み込みを調べており、年代の古いプレートの沈み込み帯における水収支はまだよく分かっていない。本論文では、広帯域海底地震計データのレイリー波の解析から得られた、マリアナ海溝中央部周辺の地殻と最上部マントルの地震学的画像を提示する。これらの画像は、マントルの含水化に起因する低いマントル速度域が、モホ不連続面の下約24 kmに広がっていることを示している。こうした結果は、沈み込む地殻の水の見積もりと合わせて、この地域ではこれまで計算されていたよりも少なくとも4.3倍多く水が沈み込んでいることを示している。年代の古い低温のさまざまなスラブで沈み込むプレートの断層が類似していることから示唆されるように、他の年代の古い低温の沈み込むスラブにも同様に含水したマントルの厚い層があるとすれば、深さ100 km以深のマントルへの全球の水の流量は、これまでの見積もりと比べて約3倍増えると思われる。地球内部深部への長期的な水の正味の流入量は地質学的な記録と一致しないので、火山弧と背弧海盆で放出される水量の見積もりもおそらく、上向きに修正される必要がある。

