生化学:マイコプラズマ病原体においてDOPAラジカルによって駆動される金属非依存的なリボヌクレオチドの還元
Nature 563, 7731 doi: 10.1038/s41586-018-0653-6
リボヌクレオチドレダクターゼ(RNR)は、DNA合成に必要な4つのデオキシリボヌクレオチド全てを産生する既知で唯一のde novo経路を触媒する。RNRは、DNAを遺伝物質として用いる全生物に必須で、現在、薬剤標的になっている。全ての真核生物と多くの細菌に見られる好気性のクラスI RNRが機能するには鉄が必要であることが発見されて以来、RNR活性に必須の触媒性ラジカルの産生と安定化には、二核金属部位が必要であると考えられている。今回我々は、マイコプラズマ(Mycoplasma)病原体を含むモリキューテス綱において、修飾されたチロシン残基に金属非依存的で安定なラジカルを保有するRNRタンパク質の1群について報告する。構造的、生化学的、分光学的な特性解析から、in vitroおよびin vivoにおいてリボヌクレオチド還元を直接支えている、安定な3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)ラジカル種が明らかになった。この観察結果は、好気性RNRには二核金属部位が必要であるとの推定を覆すものである。この金属非依存的ラジカルは、RNR阻害剤によって標的とされる、ラジカルの発生と安定化のための新しい機構が必要である。このRNRバリアントは免疫系によって誘導される金属枯渇状態で有利である可能性がある。このタイプのRNRをコードする生物の中には抗生物質抵抗性を示すものもあり、気道、尿路、生殖管の疾患に関与している。このRNRファミリーのさらなる特性解析やその補因子産生の機構から、新しい酵素化学についての手掛かりが得られ、また、このRNRを利用する病原体と戦う戦略を工夫することの有効性が示された。我々は、このRNRサブクラスをクラスIeと名付けることを提案する。

