神経科学:m6AはYTHDF1を介して海馬依存的な学習と記憶を促進する
Nature 563, 7730 doi: 10.1038/s41586-018-0666-1
N6-メチルアデノシン(m6A)は、哺乳類のメッセンジャーRNA(mRNA)で最も多く見られるRNA内の修飾で、m6Aに特異的に結合するタンパク質を介して、修飾された転写産物の運命と機能を調節する。m6Aは神経系に豊富に存在し、さまざまな神経機能を調節している。m6Aは、さまざまな生理学的過程における協調的な分解のためにmRNA群を標識するが、in vivoにおけるmRNAの翻訳とm6Aの関連性については分かっていないことが多い。今回我々は、成体マウスの海馬においてm6Aがその結合タンパク質YTHDF1を介して、ニューロン刺激に応答して標的転写産物のタンパク質翻訳を促し、それによって学習と記憶を促進することを示す。遺伝的にYthdf1を欠失させたマウスは学習と記憶の障害を示し、海馬のシナプス伝達や長期増強も損なわれていた。成体のYthdf1ノックアウトマウスの海馬でYTHDF1を再発現させると、行動やシナプスの障害が救済されたのに対して、Ythdf1、あるいはMettl3(m6Aメチルトランスフェラーゼ複合体の触媒構成要素をコードする)を海馬特異的に急性ノックダウンすると、海馬機能不全が再現された。海馬のmRNAでのトランスクリプトーム規模のYTHDF1結合部位やm6A部位のマッピングから、主要なニューロン遺伝子が特定された。海馬ニューロンにおける新生タンパク質の標識や繋留レポーターアッセイから、YTHDF1はニューロンの刺激に依存的な様式でタンパク質合成を高めることが分かった。まとめると、YTHDF1はニューロンの刺激に応答して、ニューロンのm6Aメチル化されたmRNAの翻訳を促進し、そしてこの過程は学習と記憶に関与している。

