Letter

電子工学:テラヘルツ無線リンクのセキュリティーと盗聴

Nature 563, 7729 doi: 10.1038/s41586-018-0609-x

盗聴などのセキュリティー脅威に対する回復力は、通信システムの設計で考慮すべき重要な項目の1つになっている。無線システムがありふれたものになるにつれ、ソフトウエア(暗号化など)、ハードウエア(トラステッド・プラットフォーム・モジュールなど)、物理層(波面工学など)を含む全レベルでのセキュリティー・プロトコルの必要性が増している。より高い搬送波周波数、特にテラヘルツ領域(100 GHz以上) への移行は避けられないことから、波の波長が短くなると回折の効果が弱まるために生じる送信信号の角度発散の低下(すなわち指向性の増大)が、考慮すべき重要な項目になっている。近年、テラヘルツ周波数で動作する無線機器や無線システムの研究が著しく盛んになっている。こうした高い周波数の狭角度送信は、より低い周波数で使われる広域送信に比べ、盗聴者にとってより難しい環境になる。しかし、高周波無線データリンクではセキュリティーが改善されると広く考えられているにもかかわらず、テラヘルツ盗聴の実行可能性はまだ評価されていない。最近のいくつかの研究では低い周波数でこの問題を検討しているが、一般に盗聴者のアンテナは送信アンテナの送信範囲内にあるに違いないとの考えから、送信信号の指向性が十分高ければ、盗聴は基本的に不可能になるという結論が導かれている。本論文では、この予測に反して、狭いビームを用いて高い周波数で信号を送信したときでも、盗聴者は見通し線内で送信された信号を傍受できることを実証する。この盗聴者の技術は、低周波数送信向けの技術とは異なり、送信経路内に物体を置いて盗聴者に向かって電波を散乱させている。さらに我々は、チャネルの後方散乱の特性評価を用いて、この盗聴法に対する対抗手段を検討した。我々は、この対抗手段を使って、全てではないが一部の盗聴者を見つけられることを示す。今回の成果は、テラヘルツ無線ネットワークの物理層セキュリティーの重要性と、新しい対抗手段を組み込んだ送受信機を設計する必要性を強調するものである。

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