量子物理学:デバイス無依存量子乱数の生成
Nature 562, 7728 doi: 10.1038/s41586-018-0559-3
ランダム性は、数値モデリングや暗号など情報処理のさまざまな応用において重要である。ループホールのないベルの不等式の破れに基づくデバイス無依存量子乱数生成(DIQRNG)では、デバイス内部の働きについていかなる仮定も必要とせず、予測不可能な本物のランダム性を生成できる。そのため、DIQRNGは量子情報科学の分野における究極の目標である。これまでのDIQRNGの実験では、最も一般的な攻撃者に対しておそらく安全であることを立証できなかったり、ベルテストの「局所性」ループホールが閉じられていなかったりした。本論文では、量子的な攻撃者と古典的な攻撃者に対して安全なDIQRNGを示す。我々は最新の量子光学技術を用いて量子もつれ光子対を生成・変調・検出し、約200 mの距離において、ベルテストの「検出」ループホールを閉じるためのしきい値を大きく上回る78%以上の全体効率を実現した。また、量子もつれ光子対を測定する基底を独立かつランダムに選択し、測定事象の空間的分離を保証することで、ノー・シグナリング条件を満たし、ベルテストの「局所性」ループホールもふさいだので、ループホールのないベルの不等式の破れが実現された。これと、ポッケルスセルによる高電圧かつ高繰り返し率の変調設定を用いることで、最も一般的な攻撃者に対して安全な本物の量子ランダム性のデータを実験時間内に十分蓄積できた。我々は、大型(137.90ギガビット × 62.469メガビット)のテプリッツ行列のハッシュ技法を適用して、96時間で6.2469 × 107個の量子認証されたランダムビットを得た。ここで、失敗確率(完全に安全だと保障されない乱数の生成確率)は全体で10−5未満であった。今回の実証は、DIQRNGを、概念から、高レベルの安全性ひいては本物のランダム性が必要となる実応用の重要な側面へと変えるための重要な一歩となる。また、今回の研究は、基礎的視点からランダム性の起源に関する理解を深めるのにも役立つ可能性がある。

