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素粒子物理学:電子の電気双極子モーメントの改善された限界

Nature 562, 7727 doi: 10.1038/s41586-018-0599-8

素粒子物理学の標準模型は、これまで実験室で行われた全ての素粒子物理学の測定を正確に記述する。しかし標準模型では、暗黒物質の性質や、宇宙全体で物質が反物質より支配的になっている理由など、宇宙論的な観測結果から生じる多くの疑問には答えることができない。超対称性を組み込んだ模型など、標準模型を超える素粒子や相互作用を含む理論は、こうした現象を説明できる可能性がある。そのような素粒子は真空中に現れ、よく知られた素粒子と相互作用して、その特性を変える。例えば、時間反転対称性を破る相互作用をする非常に大質量の素粒子の存在によって、宇宙論的な物質–反物質非対称性を説明できる可能性があり、電子のスピン軸に沿って電気双極子モーメントが生じ得る。基本粒子の電気双極子モーメントは観測されていない。しかし、存在の確認されているどの素粒子よりも質量が大きい素粒子によって、現状での実験限界よりわずかに小さな双極子モーメントが生じると予測されている。本論文では、巨大な分子内電場を受けている電子の量子状態の重ね合わせにおける電子スピン歳差運動を測定して得られた、電子の電気双極子モーメントの改善された実験限界を示す。今回の測定の感度は、以前のどの測定よりも少なくとも1桁優れている。この結果は、幅広い種類の推測される素粒子が存在して時間反転対称性が最大限に破られるとすれば、それらの質量は、大型ハドロン衝突型加速器で直接測定できる質量を大きく上回ることを示唆している。

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