天体物理学:マイクロクエーサーSS 433のジェットによって駆動される超高エネルギー粒子の加速
Nature 562, 7725 doi: 10.1038/s41586-018-0565-5
SS 433は、超巨星とコンパクトな天体(ブラックホールまたは中性子星)からなる連星系であり、超巨星はコンパクト天体へと降着する物質でこの連星系のロッシュローブをあふれさせている。この連星系からは、バルク速度が約0.26c(cは真空中の光速)の電離した物質の2本のジェットが視線方向に垂直に伸びており、これらのジェットは、それらによってゆがめられている超新星残骸W50の内部で終端している。SS 433は、降着がスーパーエディントンであると考えられている点で、他のマイクロクエーサー(銀河系内部に存在するクエーサーの小規模なもの)とは異なっており、系の光度は約1040 erg s−1である。ジェットの終端となっているW50のローブは、中心の放射源から約40パーセクの位置にあり、荷電粒子を加速していると予想され、実際に磁場中の電子のシンクロトロン放射と矛盾しない電波とX線の放射が観測されている。より高いエネルギー(100 GeVを超える)では、SS 433周辺のX線ホットスポットを起源とするγ線の粒子フラックスが、フラックスの上限値として報告されている。このエネルギー領域での放射は、宇宙マイクロ波背景放射からの光子と逆コンプトン散乱を通して相互作用している電子が支配的なのか、周囲のガスと相互作用している陽子が支配的なのかは明らかになっていない。本論文では、ローブを空間的に解像する、SS 433/W50系のテラ電子ボルトのγ線観測について報告する。テラ電子ボルトの放射の位置は、ジェットが形成される場所である、系の中心部から遠く離れたローブ内の構造に特定された。我々は少なくとも25 TeVという光子エネルギーを測定しており、天体を見ている位置関係から、ドップラーブーストを受けたものでないことは明らかである。電波領域のエネルギーからテラ電子ボルトのエネルギーの放射は、約16 μGの磁場中のエネルギーが少なくとも数百テラ電子ボルトに及ぶ、べき乗則スペクトル分布を示す単一の電子集団の存在と矛盾しないと結論付けられる。

