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植物遺伝学:持続可能な農業のための、植物の成長と代謝の協調の調整

Nature 560, 7720 doi: 10.1038/s41586-018-0415-5

「緑の革命」で開発・導入された穀物品種の生産力を向上させることによる世界の食料安全保障の強化は、無機窒素肥料により生じる副次的な環境被害を増大させる恐れがある。そのため、作物の窒素利用効率を改善することが不可欠だが、それには、成長、窒素同化、炭素固定を統合する共調節機構の詳細な理解が必要である。今回我々は、イネの転写因子GROWTH-REGULATING FACTOR 4(GRF4)と成長抑制因子DELLAの互いに拮抗する活性間のバランスおよび物理的相互作用が、成長と炭素や窒素の代謝の恒常性維持的な共調節を可能にしていることを明らかにする。GRF4が窒素同化、炭素固定、成長を促進して統合するのに対し、DELLAはこれらの過程を阻害する。結果として、緑の革命品種に特徴的なDELLAの蓄積は、収量を高める矮性を付与するだけでなく、窒素利用効率を低下させる。一方で、緑の革命品種の窒素利用効率および穀粒収量は、GRF4とDELLAのバランスをGRF4量が増える方向へと変化させることで増大する。従って、植物の成長と代謝の共調節を調整することで、将来の持続可能な食料安全保障のための新規育種戦略や新たな緑の革命が可能となる。

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