材料科学:布地ベースの光通信向けのダイオードファイバー
Nature 560, 7717 doi: 10.1038/s41586-018-0390-x
半導体ダイオードは、現代の計算、通信、センシングの基本的な構成要素である。そのため、半導体ダイオードを織物グレードのファイバーに組み込むことで布地の性能と機能が向上し、例えば、布地ベースの通信や生理学的モニタリングにまで応用を拡大できるようになる。しかし、加工の難しさによって、加熱延伸したファイバー形態の高品質半導体ダイオードの実現はこれまで阻まれていた。今回我々は、電気的に接続されたダイオードファイバーのスケーラブルな加熱延伸過程を実証する。我々はまず、銅やタングステンの導電性ワイヤーを通す中空チャネルに沿って内部に個々のダイオードを組み込んだ巨視的なプリフォームを作製した。このプリフォームを加熱し延伸してファイバーを作ると、導電性ワイヤーがダイオードに接近していき、最終的にワイヤーとダイオードが電気的に接触して、1本のファイバー内に数百個のダイオードが並列接続される。これによって、今回、発光ダイオードと光検出p–i–nダイオードという2種類のファイバー内デバイスが実現された。また、20 cm未満のデバイス間隔が達成されるとともに、ファイバーのクラッディング内に設計されたレンズによる光コリメーションと集光も実現された。ダイオードファイバーは、洗濯機で10サイクル洗っても性能が維持されたことから、この手法が衣料用途に適していると示された。さらに、今回の手法の有用性を実証するため、レシーバー・エミッターファイバーを組み込んだ2枚の布地の間に3 MHzの双方向光通信リンクを確立した。最後に、このダイオードを用いて心拍数測定を行ったところ、全てが布でできた生理学的状態モニタリングシステムの実現可能性が示された。今回の手法は、ファイバーにかつてない高度な機能を実現する手段をもたらすとともに、織物に利用できる加熱延伸ファイバーにおけるデバイス密度と機能の増加を通してファイバー版「ムーアの法則」の展望を提示するものである。

