細胞生物学:脂質膜上で集合するダイナミンポリマーのクライオ電子顕微鏡構造
Nature 560, 7717 doi: 10.1038/s41586-018-0378-6
膜の分裂は、細胞膜の調節と再編成における基本的な過程である。ダイナミンは大型のGTPアーゼで、出芽小胞の根元の周囲を囲むように集まり、形成された輪を引き絞って小胞を切り離すことにより膜分裂を仲介している。今回我々は、ヒトダイナミン1からなり、膜に付着しているらせん状ポリマーについて、GMPPCPと結合した状態の3.75 Åの分解能でのクライオ(極低温)電子顕微鏡構造を報告する。この構造から、ダイナミンポリマーのらせんの対称性が明確になり、オリゴマーの接触面の位置が決められ、これは細胞を用いたエンドサイトーシスアッセイによって確かめられた。脂質を含まない四量体型のダイナミンと比べると、膜に付着したダイナミンはそのプレクストリン相同ドメイン(PHD)を介して脂質二重層に結合し、グアニンヌクレオチド結合(GTPアーゼ)ドメインを介して、らせんの段に対して直角方向に自己集合している。膜とらせん状集合体との間の結合は、GTPアーゼドメインをダイナミンの他の部分と結び付ける働きをしているBSE(bundle signalling element)の強い湾曲によって調整されていることは重要である。BSEのこのコンホメーションは、らせんの段間のGTPアーゼ接触面をまたいで非対称であり、これまで知られているヌクレオチド結合状態のダイナミンのどれと比較しても独特である。この構造から、BSEのこのような湾曲は、GTPアーゼ二量体の結合から生じた力によるもので、この力は柄状の構造(ストーク)を介してPHDと脂質膜に伝わると考えられる。BSEのこの急角度の湾曲を破壊するような変異があると、エンドサイトーシスが妨げられる。また、強く引き絞られたダイナミンポリマーの分解能10.1 Åのクライオ電子顕微鏡マップも得られ、BSEとGTPアーゼドメインの局所的なコンホメーション変化(GTP加水分解によって引き起こされ、膜を引き絞る原動力となる)が明らかになった。まとめると、これらの結果は脂質膜でのダイナミンの作用機構の構造基盤を示している。

