Letter
生物地球化学:中期原生代の一次生産力が低かったことを示す三酸素同位体組成の証拠
Nature 559, 7715 doi: 10.1038/s41586-018-0349-y
地球の生物圏は、真核生物からなる複雑な生態系が出現する前は現在と比べて生産力が低かったと一般に考えられている。しかし、この主張を裏付ける直接的な証拠はない。今回我々は、カナダ・オンタリオ州のシブリー盆地に由来する、年代が約14億年前と推定される堆積層中の硫酸塩鉱物の三酸素同位体組成測定値(Δ17O)について報告し、中期原生代の生物圏の生産力が低かったことを示す証拠を提示する。硫酸塩に見られたΔ17O値は、クライオジェニアンの末期を除けば、我々の知る限り負の値として最大である(最低値は−0.88‰)。この測定値は、中期原生代の大気が、過去およそ5億年間にわたって持続されてきた大気とは異なっており、これは、当時の大気のCO2分圧およびO2分圧と光合成によるO2フラックスとの間の独特な相互作用を直接反映したものであることを実証している。酸素発生型の総一次生産力は、光合成による大気へのO2フラックスと化学量論的に関係していた。モデル化からは、中期原生代の大気のCO2分圧に関する現在の推定値(人類の影響が生じる前のレベルの2~30倍)において、大気中のO2レベルと総一次生産力との関係は、それぞれ人類の影響が生じる前のレベルを基準として、O2レベルが0.1~1%と低い場合は総一次生産力が6%、O2レベルが1~10%と高い場合は総一次生産力が41%となることが示された。始生代および顕生代の一次生産の推定値に照らすと、今回のモデルによる解析結果は、大気中O2が地質年代にわたる広範で長期的なパターンで増加したのに伴って、生物圏の生産力が増加したことを明らかにしている。

