DNAナノテクノロジー:DNA折り紙をテンプレートとする複雑なシリカナノ複合材料
Nature 559, 7715 doi: 10.1038/s41586-018-0332-7
遺伝的にコードされたタンパク質骨格は、ナノメートルスケールから巨視的スケールに及ぶ複雑で高度に制御された構造的特徴を有する生体複合材料の鉱物化のテンプレートとして機能することが多い。こうした生体材料の作製能力を模倣するために開発された方法によって、マイクロメートルサイズや巨視的サイズの明確な特徴を有する合成材料を作製できるが、そうした特徴制御をナノスケールまで拡張することは困難である。DNAナノテクノロジーを用いることで、サイズや形状が制御され要求に合わせたさまざまな二次元および三次元のナノスケール集合体が得られる。しかし、DNAはこれまで無機材料の形態調節に用いられ、DNAナノ構造体が鋳型やテンプレートとしての役割を果たしてきたが、構造維持に高イオン強度溶液が必要で、これによって表面帯電が生じて材料の析出を抑制するため、DNAナノ構造体の潜在能力を十分活用することはいまだに困難である。今回我々は、シリカ(二酸化ケイ素)ナノ構造体の作製に広く用いられているストーバー法を調整してこの難題を克服できることを報告する。すなわち、無機前駆体分子が直接析出せず、まずクラスター形成するような合成条件の場合、多種多様なDNA折り紙骨格の複雑な形状情報を忠実に再現したDNA–シリカハイブリッド材料が容易に得られる。我々は、10~1000 nmサイズの一次元、二次元、三次元の複雑な階層構造を有する骨組み状、湾曲型、多孔性のDNAナノ構造体を用いて、この手法を例示する。また我々は、成長時間を調節して層の厚さを調整できるアモルファスシリカ層でコーティングした後、ハイブリッド構造体が柔軟性を維持しつつDNAテンプレートの10倍までの靭性を持ち得ることも示す。こうした知見は、今回の手法が生体模倣シリカナノ構造体を作製する一般的方法となることを立証するものである。

