遺伝学:PARP捕捉損傷の供給源はゲノム中のリボヌクレオチドであることがCRISPRを用いたスクリーニングにより明らかになった
Nature 559, 7713 doi: 10.1038/s41586-018-0291-z
BRCA1やBRCA2を欠損する細胞がポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤に対して感受性を示すという観察結果は、このような阻害剤による相同組換え不全を狙うがん治療法の開発につながった。PARP阻害剤の細胞毒性は、PARPの捕捉、つまり阻害されたPARP1が起源不明のDNA損傷に結合した形の非共有結合性タンパク質–DNA付加体の形成に依存している。このような損傷の性質や、PARP捕捉が細胞にどのような結果をもたらすかを調べるために、我々は3つのCRISPR(clustered regularly interspersed palindromic repeats)スクリーニングを行い、臨床認可されているPARP阻害剤オラパリブに対する細胞抵抗性を仲介する遺伝子と経路を明らかにした。本論文では、変異が生じるとPARP阻害剤に対する感受性を高める遺伝子73個からなる、確実性の高いセットを報告する。このセット中には、相同組換えに関連する遺伝子が予想どおり多数含まれていたのに加えて、リボヌクレアーゼH2をコードする3つの遺伝子に起きた変異がいずれも、PARP阻害に対する細胞の感受性を高めることが明らかになった。リボヌクレアーゼH2欠損細胞でPARP阻害剤に対する非常に高い感受性が生じる原因は、リボヌクレオチド除去修復の障害であることが分かった。埋め込まれたリボヌクレオチドはリボヌクレオチド除去修復に欠陥のある細胞のゲノムに多数存在し、トポイソメラーゼ1による切断の基質となり、その結果、DNA複製が妨げられゲノムの完全性が脅かされるPARP捕捉損傷が生じる。ゲノム中のリボヌクレオチドは、RARP捕捉DNA損傷のこれまでに知られていなかった供給源となっており、転移性の前立腺がんや慢性リンパ球性白血病でしばしば見られるRNASEH2B欠失は、今回の知見を臨床治療に応用する機会をもたらすかもしれないと我々は考えている。

