細胞生物学:ATPアーゼTRIP13による細胞周期チェックポイントタンパク質MAD2のリモデリング機構
Nature 559, 7713 doi: 10.1038/s41586-018-0281-1
有糸分裂中のゲノムの安定性維持は、紡錘体形成チェックポイント(SAC)が調整しており、分裂後期促進複合体(APC/C、別名サイクロソーム)の阻害因子であり、SACのエフェクターである有糸分裂チェックポイント複合体(MCC)を介して作用する。接着していない動原体が、MAD2(MCCのサブユニット)のβシートのトポロジー変化を触媒することによりMCCの構築を制御し、活性なMAD2の閉じた配座異性体(C-MAD2)を作り出す。SACの不活性化と染色体分離には遊離したMCCの解体が必要であり、これはAAA+ ATPアーゼTRIP13によって駆動されるATP依存的過程である。TRIP13は、SACのアンタゴニストであるp31cometと協同してC-MAD2をリモデリングし、不活性な開いた構造のMAD2(O-MAD2)にする。今回我々は、TRIP13–p31cometがどのような仕組みでMCCを解体するかを明らかにする。TRIP13–p31comet–C-MAD2–CDC20複合体のクライオ(極低温)電子顕微鏡構造から、p31cometがC-MAD2を環状のTRIP13六量体の特定部位へと誘導し、C-MAD2のN末端(MAD2NT)がTRIP13の軸孔に差し込まれるように配置し、TRIP13環をゆがませてリモデリングを開始させることが明らかになった。分子モデリングからは、TRIP13は軸孔に入ったMAD2NTをしっかりつかむことにより、ATPを原動力としたMAD2NTに沿った連続的な六量体の環の移動と共役させながら、p31comet–C-MAD2複合体の球状ドメインを上方へ押し上げ、同時に回転させることが示唆された。これにより、C-MAD2のβシートの安定化に必要なC-MAD2のαAヘリックスの一部がほどけ、C-MAD2が不安定となってO-MAD2が有利になり、MAD2がp31cometから解離する。これらの知見から、特異的基質がアダプタータンパク質を介してAAA+ ATPアーゼへと誘導される仕組みに関する手掛かりが得られ、AAA+ ATPアーゼの軸孔を介した移動がタンパク質のリモデリングに結び付く仕組みのモデルが示唆された。

