微生物学:抗菌薬の併用による種特異的な活性
Nature 559, 7713 doi: 10.1038/s41586-018-0278-9
抗微生物薬耐性の広がりは公衆衛生の深刻な問題の1つとなっていて、かつては治療可能だった疾患が再び致死性になり、近代医学における成果が揺らいでいる。薬剤併用は多剤耐性菌の感染と闘う際に役立つ可能性があるが、ほとんど調べられておらず、臨床でのこうした薬剤の併用はまれである。今回我々は、大腸菌(Escherichia coli)、ネズミチフス菌(Salmonella enterica serovar Typhimurium)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の3種のグラム陰性病原菌の6つの株で、抗生物質、ヒト標的薬、食品添加物について、用量分解された3000近い組み合わせについてプロファイリングを行って、抗菌薬併用の一般的な原理を突き止め、それらの薬効を調べた。これら3つの種は系統発生学的に近縁であるにもかかわらず、検出された薬剤–薬剤間相互作用の70%以上が種特異的で、20%が株特異性を示したことから、狭域スペクトラム治療の大きな可能性が明らかになった。全般に、拮抗作用は相乗作用よりも多く見られ、それが起こるのはほぼ例外なく異なる細胞過程を標的とする薬剤間であるのに対し、相乗作用はより保存されていて、同じ過程を標的とする薬剤の組み合わせでよく見られた。我々はこのような二分性についての機構的手掛かりを示し、食品添加物バニリンの相互作用についてさらに詳しく調べた。最後に、いくつかの相乗作用がin vitroの多剤耐性臨床分離株に対して、およびハチノスツヅリガ(Galleria mellonella)の幼虫の感染の際に有効であることが示され、1つの相乗作用が最終手段として用いられる抗生物質コリスチンへの耐性を取り消すことが分かった。

