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生態学:侵入種であるネズミの不在では海鳥がサンゴ礁の生産力と機能を向上させる

Nature 559, 7713 doi: 10.1038/s41586-018-0202-3

異なる生態系間の生物的なつながりは有機物および栄養素の大規模な輸送をもたらし、生態系の構造や生産力に影響を及ぼすことがあるが、人間によって自然の流れが妨げられているために、そうした影響についてはほとんど理解されていない。海鳥は、個体数が多ければ、外洋での摂餌によって大量の栄養素を島へと運び、島の動植物相の生産力を向上させる。こうした栄養素が溶脱して海へ戻り、隣接したサンゴ礁生態系の生産力、構造および機能に影響を及ぼすかどうかについては知られていない。今回我々は、チャゴス諸島での珍しい自然実験を用いて、この疑問に取り組んだ。チャゴス諸島にはネズミが多く生息している島と、全く存在しない島とがある。人間によりネズミが持ち込まれていない島では、ネズミが持ち込まれた島よりも、海鳥の個体数密度が760倍、窒素堆積速度が251倍高いことが分かった。結果として、ネズミ不在の島では土壌および低木の窒素安定同位体比(δ15N)の値が著しく高く、これは栄養素が外洋起源であることを反映している。こうした高いδ15N値は、隣接サンゴ礁の大型藻類、濾過摂食性の海綿類、芝生状海藻類および魚類でもはっきりと確認された。ネズミ不在の島に隣接したサンゴ礁に生息する植食性スズメダイは成長が速く、また、こうした環境の魚類群集は全ての食性群においてバイオマスが高く、バイオマスの合計は48%高かった。ネズミ不在の島に隣接した生態系では、2つの重要な生態系機能であるグレージングおよび生物侵食の速度がそれぞれ3.2倍および3.8倍高かった。総合すると今回の結果は、ネズミの導入が、外洋生態系、島嶼生態系およびサンゴ礁生態系の間での栄養素の流れをいかに妨害しているのかを明らかにしている。従って、海洋島におけるネズミの根絶は、広大な海域から得られる海鳥由来の栄養素補給を回復させることで陸上生態系に有益となり、サンゴ礁の生産力および機能を向上させる可能性が高いことから、優先すべき保全対策といえる。

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