Letter
量子ナノ科学:単一の電界放出電子源としての自立分子
Nature 558, 7711 doi: 10.1038/s41586-018-0223-y
走査型プローブ顕微鏡によって、ナノスケールの物体の画像化や分光学的な特性評価とともに、その操作や励起が可能になる。さらに、現在では時間分解実験すらも普通に行われている。こうした能力を組み合わせることによって、分子カスケードに基づく論理演算、単一原子トランジスター、単一原子磁気メモリーセル、キロバイト原子メモリーを含むナノスケールデバイスの原理実証が可能になった。しかし、その下にある表面への引力に打ち勝って表面の二次元平面から突き出たデバイス構造の作製は、重要な課題である。本論文では、そうした構造の作製について実証する。我々は、走査型プローブ顕微鏡の探針を用いて、大きな平面芳香族分子(3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物)を持ち上げ、2つの金属(銀)吸着原子の台座上に直立配置させた。この分子はあらゆる既知の環境下で金属に吸着するが、これを単一で非典型的で意外に安定した直立配向にすることによって、この系がコヒーレントな単一の電界放出電子源として機能できるようになる。他の準安定な吸着物配置も利用可能性であり、表面の機能性ナノ構造の設計に第三の次元が開くと、我々は予想する。

