光学・フォトニクス:グラフェン窒化物マイクロ共振器におけるゲート制御可能な周波数コム
Nature 558, 7710 doi: 10.1038/s41586-018-0216-x
等間隔の離散的な周波数で光パルスを放射する光周波数コムは、現代の周波数計測、精密分光、天文観測、超高速光学、量子情報の基礎となっている。最近、極めてQ値の高いモノリシックマイクロ共振器におけるカー非線形性やラマン非線形性に基づくチップスケールの周波数コムが実現され、光時計の進歩や共振器時間ソリトンの観察につながった。しかし、コム形成を決定するレーザー共振器内の波長分散は、マイクロ共振器でもファイバー共振器でも、電場による調整が困難であることが多い。こうした電気的な動的制御は、光周波数コムとオプトエレクトロニクスの橋渡しをすることができるため、迅速かつ簡便に波長を調整できる多様なコム出力が1つの共振器で可能になる。グラフェンは、並外れたフェルミ–ディラック同調性を持ち、キャリア移動度が極めて高いため、ゲート電圧で調整できる光伝導率によって決まる複雑な光分散を示す。これによって、変調器、光検出器、制御可能なプラズモニクスなど、オプトエレクトロニクスに数々の進歩がもたらされた。本論文では、ゲート制御できる光伝導率と窒化ケイ素フォトニックマイクロ共振器を結び付けて、フェルミ準位を変えることで2次以上の波長分散を調節し、グラフェンベースの周波数コムのゲート制御された共振器内の波長可変性を実証する。我々は、グラフェンベースのコムにおいて、共振器のQ値を最大106までに保ちながら、二層イオンゲルゲート・トランジスターを実装し、1 Vレベルの制御下で、グラフェンのフェルミ準位を0.45~0.65 eVの範囲にわたって調整した。我々はこれを用いて、電荷制御できる2.3~7.2 THzの一次コムライン、コヒーレントなカー周波数コム、制御可能なチェレンコフ放射、制御可能なソリトン状態の全てを、単一のマイクロ共振器内に生成した。さらに我々は、超高速二次高調波光学自己相関によってマッピングされた、周期的ソリトン結晶から欠陥を有する結晶への電圧制御可能な遷移を実証する。単一原子層ナノ科学と超高速オプトエレクトロニクスを組み合わせた今回の異種グラフェンマイクロ共振器は、動的周波数コムと超高速光学の理解を深めるのに役立つであろう。

