構造生物学:DEAH/RHAヘリカーゼDHX36によるグアニン四重鎖巻き戻しの構造基盤
Nature 558, 7710 doi: 10.1038/s41586-018-0209-9
グアニンに富む核酸配列は、自発的にグアニン四重鎖に折りたたまれて、その巻き戻しにはポリメラーゼの大半が発揮できる以上に大きな力を必要とするため、複製、転写、翻訳を行う装置にとっての難問となっている。真核細胞は多数のヘリカーゼを含んでいて、これらはグアニン四重鎖を巻き戻すことができる。ヘリカーゼによるグアニン四重鎖の認識と巻き戻しの分子基盤は、まだほとんど解明されていない。DHX36(別名RHAUまたはG4R1)はヘリカーゼのDEAH/RHAファミリーの一員であって、DNAグアニン四重鎖とRNAグアニン四重鎖の両方に極めて高い親和性で結合する。そのため、細胞中のDHX36は常にグアニン四重鎖に結合した形で見いだされ、HeLa細胞溶解物中のグアニン四重鎖巻き戻し活性の主な供給源となっている。DHX36は複数の機能を持つヘリカーゼで、グアニン四重鎖により媒介される転写調節や転写後調節に関わっており、マウスでの心臓発生や造血、胚発生に必須である。今回我々は、ウシDHX36について、グアニン四重鎖および3′一本鎖DNA領域によってDNAと結合した状態の共結晶構造を報告する。N末端のDHX36特異的モチーフはDNAとの結合によってαヘリックスに折りたたまれ、これがOB-fold-likeサブドメインと共に、平行グアニン四重鎖に選択的に結合することが分かった。DHX36のリガンドが結合していない構造とATP類似体と結合した構造との比較は、1分子蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)解析とともに、グアニン四重鎖への結合だけでヘリカーゼコア部分の再配置が誘導されることを示唆している。このような再配置が、一本鎖DNA尾部を引き寄せることによりグアニン四重鎖の巻き戻しを行い、1回に1残基ずつ巻き戻しが進む。

