Letter

地球科学:完新世における西南極氷床の大規模な後退と再前進

Nature 558, 7710 doi: 10.1038/s41586-018-0208-x

海水準上昇に対する南極の氷床の寄与を予測するため、最終氷期極大期以降の過去の氷床後退の再構築結果を用いて、数値モデルのパラメーターが調整されている。西南極氷床の再構築では、この氷床が完新世(過去1万1500年程度)を通して継続的に後退したと仮定されている。これに対し、本論文では、完新世の間に西南極氷床の接地線(地面と接しなくなって浮いた棚氷となる地点を示す)は、現在の接地線よりも内陸側に数百キロメートル後退し、その後地殻均衡の反動によって現在の位置まで再前進したことを示す。今回得られた証拠には以下のものが含まれる。まず、ロス海域の氷流の下から掘り出された堆積物コアの放射性炭素年代測定結果であり、これは完新世に海洋が広範囲に露出したことを示している。次に、氷貫通レーダーによるウェッデル海域の氷体内の構造の観測結果で、これは棚氷の接地を示している。我々は、氷床モデルを用いてこれらの知見の意味を調べた。モデル化した完新世における接地線の再前進には、地殻均衡の反動に起因する棚氷の接地が必要となる。今回の知見は、完新世における西南極氷床の接地線の継続的な後退という仮定を覆すもので、以前に示唆された氷床の再前進を裏付けている。反動に駆動される安定化過程は、気候によって生じる氷床の減少を食い止め、反転させることができたようである。こうした過程が現在の氷床の減少を千年の時間スケールで反転させることができるかどうかは、岩盤地形とマントルの粘性に依存するが、こうしたパラメーターは測定や氷床モデルへの組み込みが難しい。

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