Letter

植物科学:分子可変抵抗器はオーキシン輸送を調節して根の原生師部の分化を促す

Nature 558, 7709 doi: 10.1038/s41586-018-0186-z

オーキシンは、いくつかの異なる濃度依存的な応答を介して、植物の発生に影響を与える。シロイヌナズナ(Arabidopsis)の根の先端では、PIN-FORMED(PIN)タンパク質によるオーキシンの極性輸送が、幹細胞ニッチの維持に必要となるオーキシンの局所的な蓄積を引き起こす。幹細胞の娘細胞はその近くで繰り返し分裂を行い、その後最終的に分化する。こうした発生勾配に伴い、オーキシンレベルは細胞が分裂するにつれて徐々に低下し、細胞が分化するにつれて徐々に上昇する。しかし、分化のタイミングは細胞列間で一定ではない。例えば、発生中の原生師部要素(PPSE)は、隣接細胞がまだ分裂しているときに分化する。今回我々は、PPSEの分化には、分裂組織から分化した細胞のオーキシン勾配の局所的な急峻化が関わっていることを示す。BREVIS RADIX(BRX)およびPROTEIN KINASE ASSOCIATED WITH BRX(PAX)は、相互作用する細胞膜に結合して極性を持って局在するタンパク質であり、発生中のPPSEの根側端でPINタンパク質と共局在する。brx変異体およびpax変異体は、どちらもPPSE分化に障害を示す。他のAGCファミリーキナーゼと同様に、PAXはPINを介したオーキシン排出を活性化するが、BRXはこの刺激を強く減弱させる。BRXの効率的な細胞膜局在はPAXに依存するが、オーキシンはBRXの細胞膜会合を負に制御し、PAX活性を促進する。従って、我々のデータは、BRXおよびPAXが、発生中のPPSEを通じてオーキシン輸送を調節する分子可変抵抗器の構成要素であり、PPSEの分化のタイミングを制御するというモデルを支持している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度