Letter

構造生物学:周期性四肢麻痺でゲート付き小孔を通って流れる電流の構造基盤

Nature 557, 7706 doi: 10.1038/s41586-018-0120-4

カリウムイオン感受性で低カリウム血性あるいは正常カリウム血性の周期性四肢麻痺は、弛緩性の筋力低下症状を特徴とする遺伝性骨格筋疾患である。その原因は、電位依存性ナトリウムチャネルNaV1.4あるいはカルシウムチャネルCav1.1の電位センサーのS4膜貫通セグメント中の正電荷を持つ残基(ゲーティングチャージ)に生じた単一の変異である。最外側のゲーティングチャージ(R1とR2)の変異は、電位センサー中に静止状態で陽イオンのリーク(漏れ)が生じるゲート付き小孔を形成し、これが病因となって低カリウム血性周期性四肢麻痺が引き起こされる。第3のゲーティングチャージ(R3)の変異は、活性化状態と不活性化状態の両方で起こる陽イオンのリークによって、正常カリウム血性周期性四肢麻痺を引き起こす。今回我々は、ゲーティングチャージに類似の変異が生じた細菌ナトリウムチャネルNavAbの高分解能構造を示す。この変異は、チャネル機能にヒトチャネルの場合と似た影響を及ぼすので、モデルとすることができる。R2GおよびR3Gの変異は、電位センサーの骨格構造には影響を及ぼさないが、電位センサー内のゲーティングチャージの移動を制御する疎水性の狭窄部位の近くに水性のキャビティが作り出される。R3Gの変異では、細胞外の水性のくぼみが活性化された電位センサーの全長にわたって拡張され、膜を通過する水性の経路が作られる。分子モデリングから、R2G変異では逆に、膜を通るつながった水性経路が静止状態でのみ形成されることが示された。グアニジンと複合体を形成したNavAb(R2G)の結晶構造によって、薬剤標的部位となる可能性のある領域が明らかになった。分子動力学シミュレーションからは、ゲーティングチャージR4のコンホメーションの揺らぎに合わせて、変異のあるゲート付き小孔を通過するというNa+の透過機構が明らかになった。我々の結果は、周期性四肢麻痺の発症機構を原子レベルで明らかにしたもので、イオンのリークを防止し低カリウム血性あるいは正常カリウム血性の周期性四肢麻痺の症状を軽減すると思われる薬剤設計を示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度