量子物理学:人間の選択を用いて局所実在論に挑む
Nature 557, 7704 doi: 10.1038/s41586-018-0085-3
ベルテストは、無作為化試験であり、物理的世界の特性は私たちの観察とは無関係に決まっていて信号が光よりも速く伝わることはないという局所実在論の哲学的世界観と、実験的観察とを比較する。ベルテストには、空間的に分配されたエンタングルメント、高速かつ高効率の検出、予測不可能な測定設定が必要である。これらの必要条件のうち、最初の2つは技術的に満たすことができるが、物理的なデバイスを用いたベルテストの設定の選択では、検証しようとする物理について前提を設けることになる。ベル自身、物理的設定の選択を用いる際の弱点を指摘しており、人間の「自由意志」を厳密に用いれば、ベルテストにおける予測不可能性を確保できると主張した。本論文では、人間の選択を用いて物理学における予測可能性についての前提を避ける、局所実在論の一連の検証について報告する。我々は、約10万人の参加者を集めて、予測不可能な選択結果を迅速かつ持続的に入力させ、ベルテストの方法論の例証となるオンラインビデオゲームをしてもらった。その結果、9734万7490の二値選択が生み出されて、スケーラブルなウェブプラットフォームを介して5つの大陸の12の研究室に送られ、そこで、光子、単一原子、原子集団、超伝導デバイスを用いた13の実験によって、局所実在論が検証された。これらの実験には、2016年11月30日に12時間にわたって世界中の参加者から1000ビット毎秒を超えるデータフローが持続的に提供され、人間が生み出した異なるデータを用いてそれぞれの測定設定が選択された。観測された相関は、二者あるいは三者からなるシナリオにおける、局所実在論などの実在論的見解を強く否定していた。今回のプロジェクトの成果としては、「選択の自由のループホール」(設定の選択が、「隠れた変数」の影響を受けて粒子の特性と相関する可能性)が閉じられたこと、人間が生み出すランダム性を迅速に収集するためのビデオゲーム手法の利用、実験科学に地球規模で参加するためのネットワーク技術の使用などがある。

