Letter
ナノスケール材料:原子層金属カルコゲニドのライブラリー
Nature 556, 7701 doi: 10.1038/s41586-018-0008-3
最近、二次元遷移金属カルコゲニド(TMC)の研究によって、量子スピンホール効果、バレー分極、二次元超伝導などの興味深い物理現象が明らかになり、こうした二次元物質が実際に機能デバイスに応用される可能性が示唆されている。しかし、入手可能な数多くの化合物の中で、Mo系TMCやW系TMCなどの一部の化合物だけが、主に金属や金属化合物の硫化、セレン化、テルル化を経て合成されているにすぎない。多くのTMCは、金属前駆体や金属酸化物前駆体の融点が高いため、作製が困難である。溶融塩支援化学気相成長(CVD)法を用いて比較的低温でセラミック粉末が作られており、最近、この手法を用いて単層WS2と単層WSe2の成長が促進された。今回我々は、溶融塩支援CVD法を多種多様な二次元(原子層)TMCの合成に広く適用できることを実証する。我々は、32種類の2元化合物(遷移金属Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Re、Pt、Pd、Feに基づく)、13種類の合金(11種類の3元合金、1種類の4元合金、1種類の5元合金)、2種類のヘテロ構造化合物を含む47種類の化合物を合成した。我々は、塩によって反応物の融点が低下し、中間生成物の形成が促進され、全体の反応速度が速くなる様子を詳しく説明する。単層NbSe2試料と単層MoTe2試料が超伝導を示し、MoS2とReS2が高い移動度を示すという証拠によって裏付けられるとおり、今回のライブラリー中の合成物質の大半は有用である。一部の物質についてはまだ質の向上が必要であるが、今回の研究結果によって、多種多様な二次元TMCの特性と応用の可能性を調べる機会が開かれる。

