フォトニックデバイス:波長9 μmの光の室温検出器とGHz周波数ヘテロダイン受信機
Nature 556, 7699 doi: 10.1038/nature25790
室温動作は、安価な小型システムを幅広い用途に提供することを目指すオプトエレクトロニクス技術全てに不可欠である。この方向での最近の技術的進歩は、熱画像化のためのボロメトリック検出で、比較的高い感度とビデオレート(約60 Hz)が室温で実現されている。しかし、熱によって暗電流が生じるため、8~12 μmの波長域を対象とする半導体光検出器の室温動作はまだ非常に難しく、画像化、環境リモートセンシング、レーザーを使った自由空間通信などの、半導体光検出器の応用は全て低温で実現されている。こうしたデバイスでは、高感度の高速動作と高温動作はまだ両立していない。今回我々は、サブ波長金属共振器でできたメタマテリアルで作製された長波長(9 μm)赤外線の量子井戸光検出器が、最先端の室温まで非常に高い性能を示すことを報告する。これは、個々の共振器の光収集面積が電気的な面積よりずっと大きいために、デバイスの暗電流がかなり減少したことで実現された。さらに、今回のフォトニック構造が、温度による電子のドリフト速度の低下など、極低温で動作する従来のデバイスの形状を制約している、材料に固有の限界を克服することが示された。最終的に、デバイスの物理的面積が小さくなり、デバイスの応答度が向上したため、量子検出器に固有な高周波応答を室温で利用できるようになった。この検出器はヘテロダイン受信機として機能し、我々は、2つの量子カスケードレーザーの周波数をこの検出器で混合して、4 GHz以上の高周波信号を測定した。従って、今回の広帯域非冷却検出器は、高速(ギガビット毎秒)のマルチチャネルコヒーレントデータ転送や高精度分子分光法などの技術に役立つ可能性がある。

