遺伝学:トウモロコシでは、発現の調節異常はまれな対立遺伝子の量および適応度の損失と相関する
Nature 555, 7697 doi: 10.1038/nature25966
今回我々は、現代の近交系トウモロコシの遺伝子型および表現型の多様性を表す、複数組織の遺伝子発現情報資源について報告する。この情報資源には7組織での平均255系統のトランスクリプトームが含まれている。発現の量的形質遺伝子座をマッピングし、まれな遺伝的バリアントの極端な遺伝子発現への寄与について特徴を明らかにした。トウモロコシゲノムに生じる新たな変異の一部は有害である場合があり、有害なバリアントがまれであるように選択が働くものの、有益な座位との遺伝的連鎖や集団サイズが有限であることによって、それらの完全な除去が妨げられている。現代的なトウモロコシ育種では、人為選択や自家受精を通して、この常在する変異圧の影響を系統的に軽減させており、これによってエリート近郊系統に存在するまれな劣性バリアントが明らかになってきている。しかし、これらのまれな対立遺伝子が現代の近交系トウモロコシに及ぼす進行中の影響については不明である。今回の遺伝子発現情報資源を解析し、トウモロコシの極めて大きな多様性と連鎖不平衡の迅速な消失を利用することで、我々は、まれな対立遺伝子の影響および発現調節の進化史について特徴を明らかにした。まれな対立遺伝子は発現の調節異常と関連しており、この調節異常は種子重の適応度と相関していた。現代の近交系統でマッピングされた発現の量的形質遺伝子座の中に、祖先的でまれなバリアントが豊富に存在することが分かり、歴史的なボトルネックが調節を形作ってきたことが示唆された。今回の結果は、作物の適応度と関連付けられてきたまれな有害バリアントの除去が、農業種のさらなる遺伝的改良のための1つの道筋となることを示している。

