生態学:進化史が明らかにする根の機能形質の全球的な組織化
Nature 555, 7694 doi: 10.1038/nature25783
最初の陸上植物の出現以来、植物の根は形および機能を大きく多様化させてきたが、根の機能形質の全球的な組織化に関する理解はいまだに不十分である。今回我々は、7つのバイオームの自然植物群落に分布する369種から収集した代謝的に活性な第1次分枝根(first-order root)について、機能的に重要な10の形質の全球的なデータセットを解析した。その結果、根の形質には、複数の種およびバイオームにわたる高度な組織化が見られることが明らかになり、葉の形質に関する過去の研究からの予想とは異なるパターンが見いだされた。根の直径は、異なる種、生育形、バイオームの間に見られる根の形質の変動に最も大きく影響していた。我々の解析結果は、植物が、陸上生態系に初めて出現して以来、より細い根を進化させてきたことを示唆しており、これによって単位炭素使用量当たりの土壌探索効率の大きな向上や、共生菌根への依存性の低下が可能になったと考えられる。また、植物の多様性が最も高く系統発生学的な祖先群が多く保存されている熱帯では、根の形態形質が最も多様であることも明らかになった。根の形態の多様性は、熱帯バイオーム、温帯バイオーム、砂漠バイオームの順に急激に低下するが、これはおそらく、季節によって非生物的条件が不適になることで生じる資源供給量の変化に起因すると考えられる。今回の結果は、根の形質が、根の生活における2つの対照的な戦略によって決まるスペクトルに沿って進化してきたことを示唆している。2つの戦略とは、根の太い植物が土壌資源を得るために菌根との共生に依存する祖先的な「保守的」戦略と、根の細い植物が土壌探索のために光合成炭素をより効率よく利用する派生的な「日和見」戦略である。以上の知見は、地下部の形質の革新が、植物が新たな生息地で定着しようとする際に、またバイオーム内およびバイオーム間で生物多様性が生じる上で、重要な役割を果たしてきたことを示している。

