幹細胞:伸展によって活性化されるピエゾチャネルによる幹細胞分化の機械的調節
Nature 555, 7694 doi: 10.1038/nature25744
体性幹細胞は、環境からのさまざまな合図を統合することで自己複製や細胞系譜の拘束を常に調整し、組織の恒常性を維持している。幹細胞の挙動を調節する多数の化学的シグナルや生物学的シグナルが明らかになっているが、幹細胞がin vivoで機械的シグナルを直接感知できるかどうかは分かっていない。今回我々は、成体のショウジョウバエ(Drosophila)の中腸では、機械的ストレスが、伸展によって活性化されるイオンチャネルであるピエゾ(Piezo)を介して幹細胞の分化を調節することを示す。Piezoはこれまでに知られていなかった腸内分泌前駆細胞に特異的に発現していることが分かった。この細胞は増殖能が低下しており、腸内分泌細胞になる運命である。Piezo活性を喪失させると、成体の中腸における腸内分泌細胞の発生が減少した。加えて、Piezoの異所性発現は全ての幹細胞において、細胞増殖と腸内分泌細胞分化の両方の引き金となった。このようなPiezoの変異体表現型も過剰発現表現型も細胞質のCa2+レベルを操作することで救済が可能であり、細胞質Ca2+の上昇はピエゾの過剰発現表現型に類似していることから、ピエゾはCa2+シグナル伝達を介して機能すると考えられる。さらなる研究から、Ca2+シグナル伝達は、幹細胞の増殖と分化を別個の経路を介して促進することが示唆された。さらに、腸の膨張解析での幹細胞の機械的活性化にも、腸の圧迫による解析での直接的な機械的刺激に応答した細胞質Ca2+の上昇にも、Piezoが必要であった。従って、我々の研究から、ハエの中腸にはピエゾを介して機械的シグナルを直接感知できる特定の幹細胞グループが存在していることが実証された。

