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量子コンピューティング:捕捉イオンキュービットによる高速量子論理ゲート

Nature 555, 7694 doi: 10.1038/nature25737

捕捉された個々の原子イオンに基づく量子ビット(キュービット)は、量子コンピューターの構築に有望な技術である。そのために必要な基本操作は、いくつかの誤り訂正スキームにおいて要求される精度で達成されている。しかし、量子エンタングルメントの生成に不可欠な2キュービット論理ゲートは、これまで常に断熱領域(ゲートがトラップ内イオンの特徴的な運動周波数と比較して低速の領域)において実行されてきたことから、論理速度は10 kHzのオーダーであった。このトラップ固有の「速度制限」よりも高速にゲートを実行する方法は、数多く提案されている。今回我々は、その中の1手法を実装した。この手法では、ゲート動作がパルスの光位相の影響を受けないように設計された軌道に沿ってイオンの運動を制御するために、振幅変調レーザーパルスを使用する。これによって、実験誤差の重要な原因となり得る光位相の変動に対してロバストな、高速(メガヘルツレート)の量子論理ゲート操作が可能になる。我々は、480 nsという短いゲート時間において、エンタングルメントの生成を実証した。このゲート時間は、トラップ内のイオンの単一振動周期より短く、同様のカルシウム43超微細キュービットで測定されたメモリーコヒーレンス時間より8桁短い。この方法は、従来技術より10倍以上ゲート誤差を低減できる中間の時間スケールにおいて、最も力を発揮する。例として、我々は1.6 μs持続するゲートを99.8%の忠実度で実現した。レーザー強度をさらに大きくすれば、より高速かつ高忠実度のゲートを実現できる。この手法では、連続波レーザーから得られる単一の振幅変調パルスと1対のビームしか必要としない。今回の結果から、捕捉イオンキュービットの比類ないコヒーレンス特性、動作忠実度、光接続性と、通常は固体デバイスで実現されるサブマイクロ秒の論理速度を組み合わせることへの展望が得られた。

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