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分子神経科学:ハンチンチンのクライオ電子顕微鏡構造

Nature 555, 7694 doi: 10.1038/nature25502

ハンチンチン(HTT)は胚の発生に不可欠な大型(348 kDa)のタンパク質で、小胞輸送、エンドサイトーシス、オートファジー、転写調節などの細胞の多様な働きに関わっている。HTTの生物学的機能の総合的な解明はまだなされていないが、HTTと相互作用する物質は多数見つかっていて、HTTはタンパク質–タンパク質相互作用のハブとして働いていると考えられている。また、ハンチントン病は、HTT遺伝子の変異が生じてHTTのアミノ末端にあるポリグルタミン反復配列が異常に伸長することによって引き起こされる。しかしHTTの構造についての情報は、現在のところ限られている。今回我々は、完全長ヒトHTTについて、HAP40(HTT-associated protein 40;ヒトでは3個のF8A遺伝子にコードされている)と複合体を形成した状態の構造を、クライオ(極低温)電子顕微鏡法を用いて4 Åに至る全体分解能で決定した。HTTは大部分がαヘリックスで、主要なドメイン3個から構成される。アミノ末端ドメインとカルボキシ末端ドメインには、ソレノイド状に配列された複数のHEAT(hungtingtin, elongation factor 3, protein phosphatase 2A and lipid kinase TOR)反復配列が含まれている。これらのドメインは、種類の異なる縦列反復配列を含む、より小規模な架橋ドメインによって連結されている。HAP40も大部分はαヘリックスで、TPR(tetratricopeptide repeat)に似た編成が見られる。HAP40はHEATドメイン間の隙間に入り込んで結合していて、疎水性相互作用や静電相互作用によってHTTの3個のドメインと接触してHTTのコンホメーションを安定化している。これらのデータは、これまでに得られた生化学研究の結果を正当化するものであり、HTTの多様な細胞機能の解明を進めるための道を開く。

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