細胞生物学:MEKはKSRタンパク質のアロステリック制御を介してBRAF活性化を促進する
Nature 554, 7693 doi: 10.1038/nature25478
RAFファミリーキナーゼは、がんで重要な役割を担っている。その活性化はキナーゼドメインの二量体化に依存しており、これが薬剤開発の妨げとなっていることが分かっている。哺乳類のRAFファミリーキナーゼには、触媒活性を持つ酵素が3種類(ARAF、BRAFおよびCRAF)、それに偽キナーゼが2種類(KSR1とKSR2)含まれている。2つの偽キナーゼは、RAFの各アイソフォームとその基質であるMAPキナーゼキナーゼのMEKの間をつなぐ活性を持つように見えることから、足場タンパク質であると考えられてきた。KSR(kinase suppressor of Ras)偽キナーゼ類はまた、キナーゼ活性を持つRAFと二量体化して、触媒反応をアロステリックに促進することも示されている。GTPが結合しているRASは、RAFのRAS結合ドメインに結合してRAFアイソフォームの二量体化を調節できるが、KSR1とKSR2はRAS結合ドメインを持たないため、他のRAFファミリーメンバーとの二量体化の基盤となる調節原理は知られていない。今回我々は、BRAFとKSR1の選択的なヘテロ二量体化が、各タンパク質のアミノ末端にある調節領域間の直接的な接触により特異的に起こることを明らかにする。このような接触の一部は、BRAF中のBRSと呼ばれる新規なドメインとKSR1のCC-SAM(coiled-coil-sterile α motif)からなる。我々はまた、KSR1のキナーゼドメインへのMEKの結合が、BRAF–KSR1のヘテロ二量体化を選択的に促進し、その結果、遊離MEK分子に対するBRAF触媒活性も同時に促進されることを見いだした。これらの知見は、KSR–MEK複合体が、N末端調節領域とキナーゼドメインの間の接触の影響を介してアロステリックにBRAFを活性化することを明らかにしており、この結果はKSRがRAFへとMEKを誘導する足場であるという、一般に受け入れられている説に疑問を投げ掛けるものである。

