地球科学:コンドライト隕石中のハロゲン元素と地球集積
Nature 551, 7682 doi: 10.1038/nature24625
揮発性物質の供給と保持は、地球の形成とその後の化学進化に重要な役割を担っている。重いハロゲン元素、つまり、塩素(CI)、臭素(Br)、ヨウ素(I)は、揮発性が高く液相に濃集しやすいため集積過程の重要なトレーサーになるが、地質物質や惑星物質の大半にはあまり含まれていない。一方、中性子照射時に生成される希ガスの代理指標同位体は、重いハロゲン元素の存在度を高い感度で決定するツールとなる。本論文では、こうした同位体を使って、炭素質コンドライド、エンスタタイトコンドライト、ルムルチコンドライト、始原的普通コンドライト中のCI、Br、Iの存在度が、今まで報告されていた一般的に認められている推定値よりそれぞれ約6、9、15~37倍低いことを示す。これは、コンドライトの酸化状態や岩石学的タイプとは無関係である。今回調べた全てのコンドライト中のBr/Cl比とI/Cl比は限定された範囲内にあり、地球のケイ酸塩部分の推定値と区別できない。今回の結果から、地球のケイ酸塩部分におけるハロゲン元素が始原的な隕石に比べて枯渇していることは、揮発性が同程度の親石元素の枯渇と一致すると実証された。炭素質コンドライトに対するこれらの結果は、最大で地球のケイ酸塩質量の0.5 ± 0.2%に制限されている後期集積単独では、現在の地球のハロゲン元素の量を説明できないことを明らかにしている。重いハロゲン元素の80~90%は、地表のリザーバーに濃集しており、大気形成元素に観測される初期の極端な損失を経ていないと推定される。従って、重いハロゲン元素が表面に存在することを説明するには、ハロゲン元素の後期地球集積や、地球の溶存マントルガスの半分以下を除去したマントルの脱ガスに加えて、地球の分化の初期段階における固体地球からのハロゲンに富む流体の効率的な抽出も必要である。ハロゲン元素の親水性(そのためにハロゲン元素は水と共に動く)は、この必要条件を満たしており、揮発性物質に富むもしくは水に富む後期地球集積と一致する。

