細胞生物学:繋留複合体がSNARE依存性膜融合の最終段階を推進する
Nature 551, 7682 doi: 10.1038/nature24469
真核細胞において膜融合は、細胞小器官の新生、細胞小器官間での小胞輸送、ホルモンや神経伝達物質などの重要なシグナル伝達分子のエキソサイトーシスやエンドサイトーシスを仲介する。細胞内の膜融合では、保存されたタンパク質系にそれぞれ異なる役割が割り振られている。繋留タンパク質は膜の最初の認識と結合を仲介する一方、SNARE(soluble N-ethylmaleimide-sensitive factor attachment protein receptor)タンパク質複合体が融合の中心的装置と考えられている。SNARE複合体は力学的エネルギーを提供して、膜を湾曲させ、半融合中間体から融合孔の形成に向かう過程を推進する。この最終段階は高いエネルギーを必要とする。今回我々は、酵母の液胞のin vivoおよびin vitroでの融合と、分子シミュレーションとを組み合わせて、融合孔形成の最後のエネルギー障壁を乗り越えるためには、繋留タンパク質が不可欠であることを示す。SNAREのみでは、液胞は半融合状態にしかならない。繋留タンパク質はSNARE複合体の体積を大きく増やし、半融合部位を変形させることで、孔を開口するためのエネルギー障壁を低下させ、推進力を供給する。以上のことから、繋留タンパク質は膜融合の最終段階において重要な機械的役割を担っていると考えられ、この役割は小胞輸送の多数の段階で保存されていると思われる。以上のことから我々は、SNAREと繋留タンパク質は、融合を推進する上で、分離できない単一の装置であろうと提案する。そして、この中心的融合装置は、これまでに考えられていたよりも大きくて複雑なのかもしれない。

