微生物学:赤痢菌のエフェクターの1つによるGBPのユビキチン化と分解は宿主防御を抑制する
Nature 551, 7680 doi: 10.1038/nature24467
インターフェロン誘導性GBP(guanylate-binding protein)は細胞自律的な抗微生物防御を仲介している。フレクスナー赤痢菌(Shigella flexneri)は、細菌性赤痢を引き起こす自由生活性の細胞質内グラム陰性細菌で、IpaH(invasion plasmid antigen H)と呼ばれるIII型分泌系の互いによく似たエフェクター群をコードしている。IpaHは細菌のユビキチンリガーゼの大きなファミリーであるが、その機能はほとんど解明されていない。今回我々は、フレクスナー赤痢菌感染により、ヒトGBP1(hGBP1)の迅速なプロテアソーム分解が誘導されることを示す。トランスポゾンを用いたスクリーニングを行ったところ、hGBP1分解を防止する、フレクスナー赤痢菌遺伝子ipaH9.8の変異が明らかになった。IpaH9.8はLys48結合型ユビキチン化を介してhGBP1を分解の標的としている。IpaH9.8はGBPのヌクレオチド結合状態や抗菌防御における機能の差異とは無関係に、細胞質の多様なGBPを標的とし、フレクスナー赤痢菌の複製を促進して、その結果、感染マウスは死に至る。IpaH9.8が存在しない、あるいはGBPのIpaH9.8への結合が起こらないと、hGBP1やマウスGBP2(mGBP2)などのGBPは細胞内のフレクスナー赤痢菌へと移動して、細菌の複製を抑制した。BGP1–3、5、7を欠損する変異型マウスは、野生型マウスと同様に、フレクスナー赤痢菌感染により死亡するが、野生型マウスとは異なり、ipaH9.8を欠損するフレクスナー赤痢菌にも感受性であった。IpaH9.8の作用様式から、抗菌防御におけるGBPの機能的重要性が明確に示された。IpaH9.8とフレクスナー赤痢菌はGBPを介する免疫を解明する独特な系となる。

