Letter
がん:細胞質のクロマチンが老化とがんで炎症を引き起こす
Nature 550, 7676 doi: 10.1038/nature24050
従来、クロマチンは、遺伝子の発現やサイレンシングを調節する核内物質だと考えられている。しかし、我々は最近、炎症性応答に関連する最終細胞周期停止の1つの形態である細胞老化の際に、初代細胞の無傷の核からちぎれたクロマチン断片が、細胞質に存在することを発見した。細胞質内にあるクロマチンの機能的重要性については不明である。本研究では、細胞質のクロマチンが、細胞質DNAを感知する自然免疫系のcGAS–STING(cyclic GMP–AMP synthase linked to stimulator of interferon genes)経路を活性化し、活性化したがん遺伝子を抑制する短期的な炎症と、組織破壊やがんと関連した慢性的な炎症の両方を引き起こすことを示す。細胞質クロマチン–cGAS–STING経路は、ヒト初代細胞やマウスで老化関連分泌表現型を促進する。STING欠損マウスでは、発がん性RASに対する免疫監視が正常に機能せず、電離放射線に対する組織炎症が低下した。さらに、この経路はがん細胞でも活性化されており、ヒトがんでの炎症性遺伝子発現と相関が見られた。以上のことから、我々の知見は、ゲノムDNAが老化やがんにおいて細胞質の炎症性経路を開始させるためのリザーバーであることを示している。細胞質クロマチンを介した経路を標的とすることは、炎症関連疾患の治療として期待できるかもしれない。

