コンピューター科学:機械学習のための量子アニーリングによるヒッグス最適化問題の解法
Nature 550, 7676 doi: 10.1038/nature24047
標準模型の過程のバックグラウンドにヒッグス粒子崩壊が発見されたのは、機械学習法の支援によるものである。バックグラウンドからこれらの信号を分離するのに使用される識別器は、誤りは非常に少ないが完全に完璧ではない物理過程のシミュレーションを用いて訓練され、その結果、バックグラウンド過程や信号の誤ったラベル付け(ラベルノイズ)や統計誤差が生じることが多い。今回我々は、量子アニーリングと古典的アニーリング(与えられた関数の大域的な最大値や最小値を近似するための確率論的手法)を用いて、ヒッグス信号対バックグラウンドの機械学習の最適化問題を解いた。この際、この問題を、対応するイジングスピン模型の基底状態を見つける問題にマッピングした。我々は、まずヒッグス崩壊光子の運動学的オブザーバブルに基づいて弱識別器を構築し、それを用いて強識別器を構築した。この強識別器は、過剰訓練や、訓練データ内の物理的オブザーバブルの相関に見られる誤差に対して回復力が高い。我々は、得られた量子アニーリングと古典的アニーリングに基づく識別器システムが、素粒子物理学で現在使用されている最先端の機械学習法の性能に匹敵することを示す。しかし、こうした方法とは対照的に、アニーリングに基づくこの識別器は、明確な物理的意味を持ち直接解釈できる実験パラメーターの単純な関数である。アニーラーによって訓練された識別器は基底状態に近い励起状態を用いており、小規模な訓練データセットに対して従来の機械学習法よりも幾分優れている。アルゴリズムの単純さと誤差に対するロバスト性を考えれば、この手法はイベント選択問題におけるリアルタイムでの意思決定やニュートリノ物理学における識別など、実験素粒子物理学の他の分野でも応用できる可能性がある。

