Letter
ナノスケール材料:カチオンによる層間隔制御を介した酸化グラフェン膜におけるイオンのふるい分け
Nature 550, 7676 doi: 10.1038/nature24044
酸化グラフェン膜は、部分的に酸化された積層グラフェンシートで、水溶液中のイオンや分子を正確にふるい分けることのできる、高流量でエネルギー効率の高い極薄膜になり得る。この材料は、海水淡水化や浄水、ガス分離やイオン分離、バイオセンサー、プロトン伝導体、リチウム系電池、スーパーキャパシターを含むさまざまな用途で可能性を示している。しかしカーボンナノチューブ膜の細孔のサイズが定まっているのに対し、酸化グラフェン膜中の間隙、すなわち酸化グラフェンシート(シートは膜内部の単一の薄片)の間の層間隔はさまざまである。さらに、小さいイオンを排除できるほど層間隔を狭くしたり、水溶液に浸した場合に酸化グラフェン膜が膨潤する傾向に逆らって層間隔を維持したりすることは困難である。こうした難題のために、イオンろ過への酸化グラフェン膜の応用が妨げられてきた。今回我々は、K+、Na+、Ca2+、Li+、Mg2+イオンを用いた、オングストローム精度での酸化グラフェン膜の層間隔のカチオンによる制御を実証する。1種類のカチオンによって層間隔が制御された膜は、水和体積がより大きい他のカチオンを効率よく選択的に排除できる。第一原理計算と紫外吸収分光法によって、最も安定してカチオンが吸着される位置は、オキシド基と芳香環が共存する場所であることが明らかになった。以前の密度汎関数理論計算から、他のカチオン(Fe2+、Co2+、Cu2+、Cd2+、Cr2+、Pb2+)の方がNa+よりもグラフェンシートとのカチオン–π相互作用がはるかに強いはずであることが示されており、他のイオンを用いてより広い範囲の層間隔を得られる可能性があると考えられる。

