Letter
光学材料:有機蓄光
Nature 550, 7676 doi: 10.1038/nature24010
「夜光」塗料として広く商品化されている蓄光(long persistent luminescence;LPL)材料は、励起状態において励起エネルギーを蓄え、このエネルギーを光として徐々に放出する。現在、蓄光材料の大半は、ユーロピウムやジスプロシウムを添加したストロンチウムアルミニウム酸化物(SrAl2O4)という無機系を用いており、10時間を超える発光を示す。しかし、この系は、希少元素に加え、合成時に1000°Cを超える温度が必要であり、SrAl2O4粉末による光散乱によって蓄光塗料の透明性が制限される。今回我々は、希少元素を含まず容易に合成できる2種の単純な有機分子からなる有機蓄光(OLPL)系が、室温で1時間以上発光を持続できることを示す。これまでの有機系は、2光子イオン化に基づいており、高い励起強度と低い温度が必要であった。それに対し、今回の有機蓄光系は、長寿命電荷分離状態が電荷再結合した励起錯体(エキサイプレックス)からの発光に基づくものであり、標準的な白色LED光源で励起でき、100°Cを超える温度でも長時間発光する。この有機蓄光系は、透明性と可溶性を示すとともに、柔軟性や発光色調節性を付与できる可能性がある。このため、蓄光に対して大面積塗膜や柔軟性塗膜、バイオマーカー、織物、窓への応用が新たに開かれる可能性がある。さらに、この系の長寿命電荷分離状態を調べることによって、さまざまな有機半導体デバイスに対する理解が進むはずである。

