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心血管疾患:Hippo経路の欠失は心筋梗塞後の収縮期心不全を回復させる
Nature 550, 7675 doi: 10.1038/nature24045
哺乳類の臓器の再生能は、臓器ごとに大幅に異なっている。心臓などのほとんど再生しない臓器は、臓器不全に対して特に脆弱で、一度確立した心不全は死につながることが一般的である。成体心筋細胞の増殖と再生を阻害するキナーゼカスケードであるHippo経路は、ヒトの心不全では上方調節される。本研究では、心筋梗塞後に確立した虚血性心不全のマウス心臓で、Hippo経路の構成因子であるSalvador(Salv)を欠失させると、修復につながる遺伝的プログラムが誘導され、対照群に比べて、損傷境界の血管分布増加や繊維形成減少、ポンプ機能の回復が見られるようになることを示す。我々は翻訳リボソーム親和性精製法を用いて、心筋細胞特異的に翻訳が行われているメッセンジャーRNAを単離した。Hippo経路を欠失する心筋細胞では、増殖遺伝子や、ミトコンドリア品質管理遺伝子Park2などのストレス応答遺伝子の発現が上昇していた。遺伝学的解析からPark2が心臓修復に必須であることが分かり、これは再生中の心筋ではミトコンドリアの品質管理が必要であることを示唆している。Salv短鎖ヘアピンRNAをコードするウイルスを用いた遺伝子治療では、心筋梗塞時、もしくは心筋梗塞後に虚血性心不全が確立されてからのウイルス送達によって心臓機能が改善される。我々の知見は、心不全を起こした心臓は、心筋再生以外にもこれまでに知られていなかった修復能を持っていることを示している。

