Letter

がん:PAKシグナル伝達がBRAF変異型黒色腫におけるMAPK阻害剤への薬剤抵抗性の獲得を促す

Nature 550, 7674 doi: 10.1038/nature24040

標的化によるBRAF阻害(BRAFi)や、BRAF阻害とMEK阻害の組み合わせ(BRAFiおよびMEKi)による治療は、転移性黒色腫患者の臨床転帰を顕著に改善してきた。残念なことに、これらの治療の効果は、薬剤抵抗性の獲得によって無効化されることが多い。今回我々は、BRAFiやその併用療法に対する抵抗性獲得の背景にある分子機構を調べた。我々は、以前の研究結果と一致して、BRAFiへの抵抗性はERK経路の再活性化を介して起こることを示す。しかし、併用療法への抵抗性は、多くの抵抗性細胞株や臨床試料で、ERK再活性化とは無関係な機構により生じていた。薬剤抵抗性を獲得した細胞ではPAK(p21-activated kinase)が活性化されるようになり、抵抗性獲得に中心的な役割を担っていた。逆相タンパク質アレイを用いたスクリーニングから、BRAFiと併用療法ではPAKを介した抵抗性機構が異なることが明らかになった。BRAFi抵抗性細胞では、PAKはCRAFとMEKをリン酸化してERKを再活性化する。一方、併用療法抵抗性の細胞では、PAKはJNKおよびβカテニンのリン酸化とmTOR経路の活性化を調節し、アポトーシスを抑制することで、ERK経路を迂回している。以上のことから、我々の結果は、現在の標的療法に対する薬剤抵抗性獲得の分子機構への手掛かりをもたらし、薬剤抵抗性獲得を打開するための新たな薬剤開発研究を方向付ける助けとなるだろう。

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